ナノ構造情報のフロンティア開拓 - 材料科学の新展開

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活動報告

融合領域の将来を担う若手人材の育成

本領域研究は、10の計画研究班と、のべ27の公募研究班から成り立っていました。これらが共同研究を実施するだけでなく、協力して将来を担う若手人材の育成に力を注ぎました。毎年、合宿形式で『若手の会』を開催したほか、大学院生の他グループへの滞在プログラムを実施しました。1週間程度の短期のものから1年に及ぶ滞在期間に、さまざまな形で分野横断での共同研究に従事しました。

若手の会

本領域への参加機関の大学院生が自ら企画・運営に携わる『若手の会』を毎年7月に合宿形式で開催しました。参加者全員がポスターを掲示し、それを活用して分野を跨いだ活発な議論が夜中まで続けられました。学生の互選による優秀ポスターの表彰も行いました。この活動を通して、個々の専門性が深まるだけでなく、異分野の理解や交流が進み、若手の大きな人的ネットワークが創出できました。大学院生の交流は、卒業後も続いています。

新しい学術領域を次世代に確実に継承

本領域研究は2013年に開始し、その成果は材料科学の新展開として、確実に次世代に継承されています。2015年と2017年にそれぞれ開始したJSTのCRESTとさきがけ事業においては、本領域のメンバーが研究代表者として多数採択され活躍中です。

CREST
実験とデータ科学等の融合による革新的材料開発手法の構築
研究総括 細野 秀雄
第1期(2017年採択)
  • 大場 史康 ・・・ A02(エ)
  • 清水 研一 ・・・ A03(ケ)
さきがけ
理論・実験・計算科学とデータ科学が連携・融合した先進的マテリアルズインフォマティクスのための基盤技術の構築
研究総括 常行 真司
第1期(2015年採択)
  • 世古 敦人 ・・・ A02(エ)
  • 瀧川 一学 ・・・ A03(ケ)
第2期(2016年採択)
  • 溝口 照康 ・・・ A01(イ)
  • 熊谷 悠 ・・・ A02(エ)
  • 志賀 元紀 ・・・ A02(コ)
  • 池野 豪一 ・・・ 公募班
第3期(2017年採択)
  • 林 博之 ・・・ A02(エ)
  • 鈴木 耕太 ・・・ A03(ク)

国際活動

領域研究の国際活動支援のために領域内に委員会を組織し、国際的な共同研究の場を構築・強化しました。若手研究者の長期海外派遣や海外研究者の長期受入も進めました。国際会議を共催したほか、領域研究の成果をさまざまな国際会議で積極的に発表しました。さらに、領域メンバーが海外の研究機関においてレクチュアを実施するとともに、著名な研究者をわが国に招聘し議論を深めました。本領域で得られた成果をまとめ世界に向けて発信するために、英文にて解説書 Nanoinformatics(Isao Tanaka 編、2018年3月オープンアクセス刊行)を執筆しました。

若手研究者の長期海外派遣

1名の若手研究者を特定助教として採用し、ドイツ国マックスプランク鉄鋼研究所に長期派遣し国際共同研究に従事させました。

国内活動

専門分野の研究者に向けての成果公開として毎年1回公開シンポジウムを開催し、最新の研究内容を News Letter として配布しました。そのほか、国内の学協会でのシンポジウムや講演会、基礎講座、特集雑誌の刊行を積極的に行いました。またアウトリーチ活動にも尽力しました。

主な学協会シンポジウム、講演会、雑誌特集号

  • 日本金属学会 秋期講演大会 公募シンポジウム 2014, 2015, 2016, 2017
  • 応用物理学会 基礎講座 2017
  • 日本物理学会 共催シンポジウム 2018
  • 日本セラミックス協会誌 特集号2015

アウトリーチ活動

一般市民や中高生を対象とした領域研究内容の紹介を「京都大学アカデミックデイ」において毎年実施しました。当日の説明やポスター作成は、本領域参加機関の大学院生が担当しました。これは説明する側にとっても、研究の社会的意義を認識する良い機会になりました。

書籍

解説書 "Nanoinformatics" をSpringer社より英文で出版(2018.3)しました。(オープンアクセス)

PartⅠ Materials Informatics
  • 1. Descriptors for Machine Learning of Materials Data
    Atsuto Seko, Atsushi Togo and Isao Tanaka
  • 2. Potential Energy Surface Mapping of Charge Carriers in Ionic Conductors Based on a Gaussian Process Model
    Kazuaki Toyoura and Ichiro Takeuchi
  • 3. Machine Learning Predictions of Factors Affecting the Activity of Heterogeneous Metal Catalysts
    Ichigaku Takigawa, Ken-ichi Shimizu, Koji Tsuda and Satoru Takakusagi
  • 4. Machine Learning-Based Experimental Design in Materials Science
    Thaer M. Dieb and Koji Tsuda
  • 5. Persistent Homology and Materials Informatics
    Mickaël Buchet, Yasuaki Hiraoka and Ippei Obayashi
  • 6. Polyhedron and Polychoron Codes for Describing Atomic Arrangements
    Kengo Nishio and Takehide Miyazaki
PartⅡ Nanoscale Analyses and Informatics
  • 7. Topological Data Analysis for the Characterization of Atomic Scale Morphology from Atom Probe Tomography Images
    Tianmu Zhang, Scott R. Broderick and Krishna Rajan
  • 8. Atomic-Scale Nanostructures by Advanced Electron Microscopy and Informatics
    Teruyasu Mizoguchi, Shin Kiyohara, Yuichi Ikuhara and Naoya Shibata
  • 9. High Spatial Resolution Hyperspectral Imaging with Machine-Learning Techniques
    Motoki Shiga and Shunsuke Muto
PartⅢ Materials Developments
  • 10. Fabrication, Characterization, and Modulation of Functional Nanolayers
    Hiromichi Ohta and Hidenori Hiramatsu
  • 11. Grain Boundary Engineering of Alumina Ceramics
    Satoshi Kitaoka, Tsuneaki Matsudaira, Takafumi Ogawa, Naoya Shibata, Miyuki Takeuchi and Yuichi Ikuhara
  • 12. Structural Relaxation of Oxide Compounds from the High-Pressure Phase
    Hitoshi Yusa
  • 13. Synthesis and Structures of Novel Solid-State Electrolytes
    Ryoji Kanno, Genki Kobayashi, Kota Suzuki, Masaaki Hirayama, Daisuke Mori and Kazuhisa Tamura