複合酸化物や酸化物固溶体の構造予測・状態図計算¶
酸化物セラミックスやワイドギャップ半導体のような化合物系では,基本的な熱力学データが不足していることが多く,実験結果に基づいた状態図はほとんど報告例がありません.また第一原理計算から計算状態図を作製するためには,結晶構造が一般的に複雑であるために,従来の単純化された統計熱力学的手法が適用できないことや,第一原理計算そのものの精度が低いことなどがボトルネックとなっていました.このようなことから,第一原理計算に基づいて熱力学量や状態図を定量的に導出することは,金属材料系に比べてさらに重要度は高く,第一原理計算に基づいた一般的な計算手法の確立が不可欠です.
MgO-NiOにおける磁気および原子の安定構造計算¶
Y. Kumagai, A. Seko, F. Oba and I. Tanaka, Phys. Rev. B 85, 012401 (2012).
MgO-ZnOにおける安定構造および平衡状態図計算¶
B. Liu, A. Seko and I. Tanaka, Phys. Rev. B 86, 245202 (2012).
A. Seko, F. Oba, A. Kuwabara and I. Tanaka, Phys. Rev. B 72, 024107 (2005).
立方晶酸化ビスマスにおける平均構造の予測¶
A. Seko, Y. Koyama, A. Matsumoto and I. Tanaka, J. Phys.: Condens. Matter 24, 475402 (2012).
スピネル酸化物における規則不規則現象の計算¶
A. Seko, F. Oba and I. Tanaka, Phys. Rev. B 81, 054114 (2010).
A. Seko, K. Yuge, F. Oba, A. Kuwabara and I. Tanaka, Phys. Rev. B 73, 184117 (2006).
A. Seko, K. Yuge, F. Oba, A. Kuwabara, I. Tanaka and T. Yamamoto, Phys. Rev. B 73, 094116 (2006).
スピネル酸化物は,AB2O4という組成式で表現され,A,B原子がO原子副格子(fcc)の四面体位置と八面体位置を占有する構造を持ちます. 温度上昇により,A原子とB原子の置換に起因した陽イオンサイトにおける不規則化が起こります. 不規則化は,四面体位置にB原子がいる割合,置換比率xにより表されます. このスピネル酸化物において,第一原理計算とクラスター展開法,モンテカルロ法を組み合わせて置換比率の温度依存性を予測しました.